仏教では、亡くなった人はこの世から浄土(天国)まで、49日間かけて徒歩での旅をすると考えられています。
この間は「中陰」といって、生きてもいないし、浄土の住民でもない、中間の期間とされています(「中有(ちゅうう)」とも言います)。
中陰中に行う「中陰経」は、この49日間の旅が、道中無事であるようにという願いも込めて行います。
中陰経は、7日ごとに行います(ただし、亡くなったその日を「1日」と数えますので、初回の初七日は、6日後となります)。
そして浄土に到着する49日目に合わせて、「四十九日・忌明け」の法事を行います。
また、亡くなって100日目には「百ヶ日」の法事を行います。
中陰経の個々の詳細については、この後の十三仏の説明にも書いてありますので、参考にしてください。
中陰中は、故人はまだ浄土(天国)の住人にはなっていませんので、仏壇ではなく中陰棚という祭壇を別途作ってお参りをします。
お寺や地方によっては、初命日(はつめいにち。初月忌(しょがっき)とも言う)を営むところがあります。
例えば、3月10日に亡くなった場合、1ヶ月後の4月10日が初命日となります。
3月31日に亡くなった場合、4月31日はないので、4月30日に営みます。
三月またぎ(みつきまたぎ)といって、中陰が3ヶ月にわたるのを嫌う風習があります。
例えば3月25日に亡くなった場合、四十九日(=忌明け)は、4月をまたいで、5月12日になります。これが三月またぎです。
三月またぎの由来には各種ありますが、「身につく」という言葉に似ているからという説や、3ケ月もかかると忙しい人(特に商人)には負担だからという説などがあります。
いずれにしても、本来の供養の精神とは関係のない俗習ですので、故人が浄土に着くまできちんと中陰経を営んで差し上げるべきでしょう。